Gena(ジーナ)の飲んだくれ太腕繁盛記

健康であれば大抵のことは気合いと根性で乗り切れる!

「永い言い訳」

昨日は「映画の日」でした。
久しぶりにイオンシネマに行って来ました。


「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、第153回直木賞候補作にもなった自著を、自身の
監督、脚本により映画化。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、突然のバス事故により、長年連れ添った妻(深津
絵里)を失うが、妻の間にはすでに愛情と呼べるようなものは存在せず、妻を亡くして悲しみにくれ
る夫を演じることしかできなかった。
そんなある時、幸夫は同じ事故で亡くなった妻の親友の遺族と出会う。
幸夫と同じように妻を亡くしたトラック運転手の大宮(竹原ピストル)は、幼い2人の子どもを遺して
旅立った妻の死に憔悴していた。
その様子を目にした幸夫は、大宮家へ通い、兄妹の面倒を見ることを申し出る。
なぜそのようなことを口にしたのか、その理由は幸夫自身にもよく分かっていなかったが…。
(映画.comHPより抜粋)

まず、この映画は好き嫌いが分かれると思います。
観る人が選ぶ映画ではなく、映画側が観る人を選ぶのではないか?…と思いました。

結婚生活20年近い、子供がいない夫婦。
夫は作家で弁がたち、テレビ番組にも出演している。
妻は美容師で美容室を経営している。

自宅の居間で夫の髪を切る妻、居間のテレビには、夫が出演しているクイズ番組が映っている。
夫は自分の名前が、鉄人と呼ばれた野球選手、広島カープの衣笠祥夫と同じ「きぬがさ さちお」
なのが嫌いだ。
子供の頃から散々からかわれてきたから…。
妻に自分のことを、人前で「さちおくん」と呼ぶなと言う。
作家になる前から知り合っているのだから、「さちおくん」と呼んで何が悪いのか?…と冷ややか
答える妻。
それを何だかんだと難癖を付けて、一方的に言い返す夫。
この冒頭のやり取りが、我が夫の屁理屈タレと全く同じでイライラしました。
このシーン、100%妻に同情しましたよ(p_-)

この後、妻はスキー旅行に出発し、夫は愛人を家に引き入れる。
そしてその夜、妻は事故で亡くなってしまう。
夫は亡くなった妻への罪悪感にさいなまされるが、謝るべき妻は死んでしまった。
そんな時に知り合った、妻の親友の遺族、大宮一家。
長距離トラック運転で家を空ける大宮の為に、幸夫は二人の子供の世話を申し出る。
それは妻に対する贖罪と罪悪感から申し出たことだが、実は自分を再生させることになるので
した。

なぜ「長い言い訳」でなく、「永い言い訳」なのか?
それは言い訳を言う相手が亡くなり、聞いてはもらえぬ言い訳が、自分の心の中に、永久に残る
からではないか?

映画中盤で幸夫は妻の遺品のスマホに、自分宛の未送信メールを発見します。
「もう愛してない。ひとかけらも」
カッとなって、スマホを床に叩きつける幸夫。
一体どんな気持ちで、妻はこのメールを書いたのか?
そしていつ書いたのか?

既婚子供無しの私には、他人事に思えない箇所がいくつも有りました。
妻は愛人の存在には気付いてました。
こんな自意識過剰なナルシスト夫、別れれば良いのに…と思うでしょうが、愛情と言うより、きっと
夫を見捨てられなかったのだと思います。
もし、この夫婦に子供が居たら、意外と別れていたかも知れません。
あれこれ考えさせられた映画でした。