Gena(ジーナ)の飲んだくれ太腕繁盛記

健康であれば大抵のことは気合いと根性で乗り切れる!

「茜色に焼かれる」

昨日は昼過ぎからミニシアターに行って来ました。

観たのは「茜色に焼かれる」です。

ポスター画像

(C)2021「茜色に焼かれる」フィルムパートナーズ

尾野真千子の4年ぶりとなる単独主演映画で、「舟を編む」「映画 夜空は

いつでも最高密度の青色だ」の、石井裕也監督による人間ドラマ。

7年前、理不尽な交通事故で夫を亡くした母と子。

母の田中良子はかつて演劇に傾倒していたことがあり、芝居が得意だった。

独りで中学生の息子・純平を育て、夫への賠償金は受け取らず、施設に入院

している義父の面倒もみている。

コロナ禍により経営していたカフェが破綻し、ホームセンターの生花コーナ

ーのバイトと、夜の仕事の掛け持ちでも家計は苦しく、そのせいで息子はい

じめにあっている。

社会的弱者として、世の中の歪みに翻弄されながらも信念を貫き、たくま

く生きる母の良子を尾野が体現。

息子の純平役を「ミックス。」の和田庵が演じるほか、片山友希、オダギ

ジョー、永瀬正敏らが顔をそろえる。(映画.comHPより)

たまたま、その場所に居た夫が、アクセルとブレーキを踏み間違えた車に跳ね

飛ばされて亡くなってしまう。

加害者の男が認知症を発症していて、自分が起こした事故を認識していないか

らと、被害者家族に対して謝罪の言葉も無く、賠償金の提示だけだったからと

いう理由で、妻は賠償金の受け取りを拒否してしまう。

う~ん、これは…ね(T_T)

夫が定職に就かず、妻が働いて収入を得ていたから、賠償金が少ないと言うの

は、損害保険から考えると仕方が無い。

でも、妻は夫の生命の価値を値踏みされたようで納得がいかなかったのだ。

そんなことよりも、謝罪の言葉が欲しかったのだ。

そこは理解できます。

家族が理不尽に命を絶たれたとき、まずは謝罪の言葉が聞きたいです。

なぜ、こんな事故が起きたのか?

なぜ、自分の家族だったのか?

この問いかけに納得がいかなかったとしても、賠償金を受け取るのは被害者

の権利です。

子供が居れば、子供の養育費になるし、教育費になる。

生活費の足しにもなる。

コロナ禍で良子が経営していたカフェを畳むことになり、体調を崩した夫の

父親が施設に入ることになる。

おまけに良子は、夫と愛人の間に出来た子供に養育費を仕送りするために、

風俗に身を落とす。

この映画を観ていて、なぜ賠償金の受け取りを拒否したのだろう?…と疑問

に思いました。

綺麗ごと過ぎて悲しかったです。

自分だけならまだしも、子供がいたら、まずは生活を考えるべきでは?

なぜ、そこまでして自分の家族以外の者に対して、責任を持たなければなら

ないのか?

映画を観ながら、あれこれ考えてしまいました。

ともあれ、尾野真千子の演技に魅せられました。

上手くなりましたね。

場面ごとに演じ分けてくれました。

亡き夫の仲間で、手助けをしてくれるようなことをチラつかせながら、言い

寄って来る輩がいますが、尾野真千子が上手くやり過ごすシーンはさすがで

した。

実際にこういう輩が少なからずいるんだろうな。

上映時間が144分と長尺ですが、この映画は尾野真千子の代表作となるで

しょう。

理不尽な世間と戦う良子(尾野真千子)の姿を是非、ご覧になって下さい。