Gena(ジーナ)の飲んだくれ太腕繁盛記

健康であれば大抵のことは気合いと根性で乗り切れる!

「正解」が無い問い。

日曜の夕方、NHKで放送していたドキュメンタリー番組を観て、考え込んで

しまいました。

この元受刑者は強盗殺人を犯し(精肉店の店主の妻を閉店後の帰り路で襲い

殺害)、21歳で刑務所に入り、無期懲役で62年間収監され(日本で最長

収監記録)、2019年に83歳で仮出所しました。

何度か仮出所の機会は有ったが、面接時に反省の態度が見られなかったり、

身元引受人が居ないことも有り(幼少時に母親とは生き別れ、父親は6歳の

時に死亡)仮出所が認められませんでした。

その間に凶悪犯罪の増加で、有刑の懲役期間が最長30年まで伸びたことも、

仮出所に至らなかった原因の一つでした。

今回仮出所が認められたのは、障がい者や知的障がい者、高齢受刑者には身

元引受してくれる施設が見つかれば良いと、法律が変わったからです。

それにしても、62年も刑務所の中に居たら、社会に出たら浦島太郎状態に

なりますよね。

そしてこの元受刑者は、刑務所内での生活に慣れてしまっているから、指示

を与えられないと、どうして良いのかが分からないんです。

刑務作業も無いし…。

「ここでは働かなくて良いんですよ」と施設長に言われても、納得がいかな

い。

環境に順応できず、生きることに無気力になってしまいました。

そのうちに体調を崩して2ヶ月入院し、施設長が「最期は自分の部屋で過ご

させてやりたいから」と退院させ、看病しましたが数日後に亡くなりました。

出所して1年5日目のことでした。

番組では何度か本人を取材し、被害者や被害者家族に対し、今どのような気

持ちを持っているか?なぜ罪を犯したのか?…と問いかけるが、口をつぐん

でしまいます。

刑務所に居た時は、週に1度、教誨(きょうかい)室に行っていたようだ。

(何年か同じ刑務所で過ごした元受刑者談)

この元受刑者は、自分が犯した罪の重さは分かっていると思います。

だから教誨室に通っていたのだろうから。

このドキュメンタリーを観て、犯人にとって「死刑」と「終身刑」のどちら

が辛いだろうか?…と考えました。

無期懲役刑ならば、いつかは仮出所できる。

この元受刑者は、法改正が有ったり、身元引受人が見つからなかったりと、

幾つかの原因が重なり合い、62年も収監されたのだが。

「命」を取ったら「命」で償わせるべきか?

「生き続けること」で償わせるべきか?

「正解」が無い問いですよね。