昨日は「ファーストデイ」、近所のシネコンでは映画一本が1200円で観ら
れるから、昼から一本鑑賞しました。
観たのは「ロストケア」です。
(C)2023「ロストケア」製作委員会
松山ケンイチと長澤まさみが初共演を果たし、連続殺人犯として逮捕された
介護士と検事の対峙を描いた社会派サスペンス。
ある早朝、民家で老人と訪問介護センター所長の死体が発見された。
死んだ所長が勤める介護センターの介護士・斯波(しば)宗典が犯人として
浮上するが、彼は介護家族からも慕われる心優しい青年だった。
検事の大友秀美は、斯波が働く介護センターで老人の死亡率が異様に高いこ
とを突き止める。
取調室で斯波は多くの老人の命を奪ったことを認めるが、自分がした行為は
「殺人」ではなく「救い」であると主張。
大友は事件の真相に迫る中で、心を激しく揺さぶられる。
斯波を松山、大友を長澤が演じ、鈴鹿央士、坂井真紀、柄本明が共演。
作家・葉真中顕の小説「ロスト・ケア」をもとに、「そして、バトンは渡さ
れた」の前田哲が監督、「四月は君の嘘」の龍居由佳里が前田監督と共同で
脚本を手がけた。(映画.comHPより)
観終わった後、久しぶりに頭の芯に痺れたような重さが残った映画でした。
観客の平均年齢は70歳ぐらいか?
殆どが介護する側、される側の年齢層でした。
斯波(しば)が行った行為は「殺人」なのか?
介護に疲れ、行き詰った家族を救うための「救い」なのか?
(C)2023「ロストケア」製作委員会
(C)2023「ロストケア」製作委員会
「子育て」は、子供が成長すれば終わる。
「介護」は、介護される側が亡くなるまで続く。
終わりが見えない出口を探すような感じ。
斯波は実父の介護に追われ、仕事を退職し、喰い詰めるまで追い込まれ、生活保護
を受けようと市役所を訪れるが、担当者から「あなたはまだお若いから、働けるで
しょう?」と追い返される。
脳梗塞に罹患し、身体が不自由になり、認知症を発症した父親を一人で家に置いて
おけない。
働きたくても働ける状態では無い…役所はそれを理解してくれない。
斯波はそういう「福祉の穴」を体験している。
父親が亡くなった後、介護職に就き「人にしてもらいたいと思う事は何でも、人に
しなさい」と言う、聖書の一文を座右の銘に働いている。
仕事で訪問するのは、生活の為に昼夜働いて子供の世話をしながら、認知症の母親
の介護をしているシングルマザーの家。
三人の子供の世話をして、夜は夫の居酒屋を手伝い、昼間に父親の介護をしにやっ
て来る女性の実家。
皆、精神的に金銭的に参っていて、極限状態に陥っている。
「その時が来た」と、斯波は思うのだ。
映画のラストで、大友は斯波に面会に行き、教会で告解するかのように、斯波に自
分の気持ちを話すのでした。
介護は長男の嫁がするもの、娘がするもの、子供がするもの…、そのように思って
いる人、身内の介護をしている人、介護職の方、全ての人に観て欲しい映画です。
是非是非、ご覧になって下さい。
主題歌の「さもありなん」が、胸に突き刺さりました。
【然もありなん(さもありなん)→そうであっても全くおかしくない。
そうであろう。もっともだ。】