この映画は、キネマ旬報が選んだ2013年外国映画第一位の作品です。
妻が病に倒れたことで穏やかだった日常が変化していく老夫婦の姿を描く。
の高級アパルトマンで、悠々自適な老後生活を送っていた。
しかし、ある日突然、妻のアンヌが病に倒れ、手術も失敗して体が不自由になってしまう。
ジョルジュは病院嫌いな妻の願いを聞き、車椅子生活になったアンヌを支えながら自宅で暮らす
ことを決意。
2人はこれまでどおりの生活を続けようとするが、アンヌの病状は悪化していき…。
(映画.comHPより抜粋)
フランス映画界の往年のスター、ジャン・ルイ・トランティニャンが夫役で出ています。
映画で姿を観たのは久しぶりですね。
この映画の中では、ハッキリとした病名は出て来ません。
ただ、病状とセリフの中に出て来る言葉で想像するに、血栓が頸動脈に詰まって手術をしたけ
ど、手術は失敗し、右半身が麻痺してしまう。
そして血流が悪いために、認知症を発病した…という感じです。
アンヌが病院嫌いで、「病院には帰りたくない。入院は嫌だ」と言うので、自宅で介護することに
なりました。
ええ、老老介護をすることになったんです。
しかし、次第に身体の自由が利かなくなり、記憶障害も出て来て、日常会話もできなくなるんで
す。
呼びかけても答えは帰って来ず、ただ「痛い」とわめくようになります。
どこがどのように痛いのか?
本当に痛いのか?
看病している夫にも分かりません。
離れて暮らしている娘は、老いている父親を心配し、「病院に入院させた方が良い」と言うので
すが、父親は「病院には入院させないからとアンヌと約束したから」と、妻を入院させません。
ベッドの上に横たわり、無表情になってしまった妻に、水を飲ませようと、スプーンで口元に持っ
て行くのですが飲まないのです。
アンヌは食事や水分補給をすることさえも、理解できなくなってしまったのです。
「頼むから飲んでくれ。脱水症状で死なすわけにはいかん!」と、ジョルジュは飲ませようとし
ます。
アンヌがやっと口に含み、「それで良いんだ」と言うと、アンヌは水を吐きだします。
カッとなったジョルジュはアンヌを叩いてしまいます。
この場面では、本当に切なくなりました。
叩いた後で、「すまない」と妻の頬を撫でる夫の心情はいかに…(T_T)
そしてラストは…。
冒頭のシーンは、こういうわけなのね…と繋がりました。
私も病院は嫌いなので、行きたくない口ですが、回りに迷惑を掛けることになるのが分かって
いるなら、老人病院や介護ホームに行こうと思います。
実際の介護や老老介護は、もっと酷い状態だと思います。
奇しくもキネマ旬報の邦画第一位「ペコロスの母に会いに行く」も、介護がテーマになっている
映画でした。
避けては通れぬ事とはいえ、「ペコロス…」と違い、この映画は、観終わった後に重苦しい気分
になった映画でした(>_<)