2本目は「イニシェリン島の精霊」を観ました。
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「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督が、人の死を予告
するというアイルランドの精霊・バンシーをモチーフに描いた人間ドラマ。
1923年、アイルランドの小さな孤島イニシェリン島。
住民全員が顔見知りのこの島で暮らすパードリックは、長年の友人コルム
から絶縁を言い渡されてしまう。
理由もわからないまま、妹や風変わりな隣人の力を借りて事態を解決しよ
うとするが、コルムは頑なに彼を拒絶。
ついには、これ以上関わろうとするなら、自分の指を切り落とすと宣言す
る。
「ヒットマンズ・レクイエム」でもマクドナー監督と組んだコリン・ファ
レルとブレンダン・グリーソンが主人公パードリックと、友人コルムをそ
れぞれ演じる。
共演は「エターナルズ」のバリー・コーガン、「スリー・ビルボード」の
ケリー・コンドン。
2022年・第79回ベネチア国際映画祭のコンペティション部門でマーティ
ン・マクドナーが脚本賞を、コリン・ファレルがポルピ杯(最優秀男優賞)
をそれぞれ受賞。
第95回アカデミー賞でも作品、監督、主演男優(コリン・ファレル)、助
演男優(ブレンダン・グリーソン&バリー・コーガン)、助演女優(ケリ
ー・コンドン)ほか8部門9ノミネートを果たした。
(映画.comHPより)
今から100年前の1923年、日本では大正12年、関東大震災が起きた年
です。
あの頃の日本の片田舎と同じく、イニシェリン島には娯楽がなく、村人は集ま
っては噂話や他愛の無い話をして、憂さ晴らしをしています。
コルムはパードリックより20歳ぐらい年上?
残り少なくなった人生、自分のヤリタイことをやろうと決意します。
趣味のバイオリンも弾きたいし、作曲もしたい、読書もしたい。
何よりも一人で過ごす時間が欲しい!
そこで、毎日毎日やって来るパードリックとの決別を考えたのでした。
年下のパードリックは無趣味。
昼2時になるとコルムの家に行き、パブへ誘って噂話に明け暮れるのです。
パードリックに取って、コルムとパブに行くのが唯一の楽しみなのだ。
村社会は距離感が無いですから。
黙っているとグイグイ来られます。
コルムは我慢して付き合っていたけど、いつまで経ってもパードリックは成長
しない。
挙句の果て、コルムは自分の指を切り落とす宣言までしたが、パードリックは
本気にしません。
ここまでこじれないうちに、話に付き合うのは毎日でなくて隔日にするとか、
自分の時間を取れるように、少しずつ計画できなかったのかな?
もっと早くに、例えば数年前からとか、徐々にパードリックとの距離を広げて
行けなかったのかな?
パードリックの妹シボーンは、二人とも五十歩百歩だと言います。
自分より馬鹿な年下男と、自分の方が賢いと思う年長者。
確かにね、本当に賢い人ならば、もっとうまく立ち回れるだろう。
結局は馬鹿にしている男は、馬鹿にされている男と変わらないってことか。
人間の愚かさを描いた映画でした。
パードリックの飼っているロバと、コルムが飼っている犬が可愛かったのが
救いでした。